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イベント名

オペラシアターこんにゃく座
オペラ「さよなら、ドン・キホーテ!」明石公演

公演日時

2024年7月13日(土)14:00開演(13:30開場)

会場

明石市立西部市民会館ホール MAP

プレイガイド

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ものがたり

1940年代フランスのいなか町。古い厩舎のある牧場で馬を飼って暮らす、トーマスとベルの父娘。馬は戦地へと駆り出され、もう何頭も残っていない。

ベルは学校が嫌いだ。自分らしくいることのできない学校になんか行きたくない、と、いつも厩で本を読んで過ごしている。大好きなのは「ドン・キホーテ」。いつか自分は男になって世界を旅する騎士になることを夢みている。

ある夜、ベルは厩の隅に隠れていた少女サラをみつける。サラは家族とはぐれ逃げ延びてきた、ユダヤ人だった。ベルはサラに、僕が君を守ってあげると約束する。しかし、戦場と距離を隔てた町にも戦争の影は忍び寄って来る……。

片足が悪く兵士になることができない馬丁のルイ、過去を抱えパリから移り住んできたベルの担任のオードリー、そして厩舎で飼われる“馬”のロシナンテとサンチョ。2匹の馬と、ある家族をとりまく物語。

キャスト

ベル/沖まどか

サラ/飯野薫

トーマス/髙野うるお

ルイ/島田大翼

オードリー/岡原真弓

ロシナンテ/武田茂

サンチョ/富山直人

サイモン/壹岐隆邦

ピアノ/大坪由美

スタッフ

台本・演出……鄭義信

作曲……萩京子

美術……池田ともゆき

衣裳……宮本宣子

照明……増田隆芳

振付……伊藤多恵

擬闘……栗原直樹

音響……藤田赤目

舞台監督……藤本典江

音楽監督……萩京子

宣伝美術……小田善久(デザイン)・伊波二郎(イラスト)

僕たちの「見果てぬ夢」は?

 

台本・演出/鄭義信

やせ馬にまたがった、ガリガリの爺さんである「ドン・キホーテ」の物語が、なんでこれほどまでに愛されているのか、僕にはわからない。そもそも冒険譚が好きではない。冒険譚がたいがい英雄の物語であるからだろうか。うさんくさいものを感じてしまう。

「ドン・キホーテ」の作者であるセルバンテスは、二十二歳の時、祖国スペインのため、カトリックの大義のため、兵士となって闘い、英雄となった。しかし、祖国に凱旋途中、トルコの海賊に襲われ、捕虜となる。三十三歳の時、救出され、ようやく帰国するが、ろくな仕事にありつけない。生活のため、やむなく海軍の食料徴発係……つまり、貧しい人々から滞納税をむしりとる、反英雄的な仕事につく。そして、仕事のいざこざで、五十歳の時、牢獄につながれるのだ。

「ドン・キホーテ」は、セルバンテスが牢獄の中で紡いだ物語である。それゆえ、無謀な戦争によって潰えた人生の、苦々しさのようなものが漂っている。しゃにむに風車に突進し、羊の群れに飛びこむ爺さんを、セルバンテスはあざ笑う。冒険はことごとく失敗し、ついには「銀月の騎士」に決定的な敗北をきっする。うちひしがれた爺さんは、これまでの騎士道物語に唾を吐いて、死んでいく……これほど暗い結末にもかかわらず、僕は爺さんに拍手を贈りたくなる。夢に向かって、ひたすら進もうとする姿を応援したくなる。爺さんを笑う人たちを「おまえたちこそが、俗物だ!」と叫びたくなる。そして、爺さんがその最期を、英雄ではなく、ただの一個の凡人にかえる勇気を選んだことに涙する。

 

「友のサンチョよ、どうか許しておくれ。この世に遍歴の騎士がかつて存在し、今も存在するという誤った考えにおまえをおとしいれ、わたしだけではなく、おまえにまで狂人のようなふるまいをさせてしまった」

「いいかね、おらの大事な旦那さま、この世で人間のしでかすいちばんでかい狂気ざたは、べつに人が殺されるってわけでもねぇのに、ただ悲しいとか侘しいとか言って、死に急ぐことですよ」
(「ドン・キホーテ」牛島信明編訳より抜粋)

 

コロナ禍の中で、きなくさい規制や嘘くさいスローガンが叫ばれる中、僕たちはドン・キホーテのように夢から醒めて現実を見つめ、それでも、しゃにむに闘っていけるのだろうか。夢や希望を鼻で笑うことなく、明日を語ることはできるのだろうか。

※2021年初演時パンフレットより

暗く苦い祝祭オペラの誕生

 

作曲/萩京子

こんにゃく座創立50周年記念公演第2弾として、鄭義信台本・演出、萩京子作曲による新作を打ち出す計画は、とても早い段階に決まっていた。『ロはロボットのロ』ではロボットの心に愛が芽生え、『まげもん』では復讐ではなにも解決しないことを語り、『ネズミの涙』では戦争で家族を失った悲しみをはねのけ、血のつながりではない新しい家族との共生をめざす再出発をちからづよく歌った。鄭+萩コンビの作品はつねに涙と笑いに満ち、見終わると元気が出るオペラと言われている。そういうオペラを、またひとつ作り出すはずだった。

だが2021年はこのような時代になってしまった。新型コロナウイルスの出現だけが問題なのではない。このような暗い、苦しい時代は、突然やってきたわけではない。徐々にその足音は聞こえていたはずだ。貧困、差別、偏見……そして戦争が足音を立てて近づいてきている。

私は1956年生まれ。戦争はずっと昔に終わっていて、この先もう戦争はないと信じていた。ついでに言うと「女だから」といって何かをあきらめる必要のない時代になっていると思っていた。世の中はどんどん良くなっていくに違いないと感じながら育ってきたはずだった。教育を受ける権利を再び奪われてしまうかもしれないアフガニスタンの女性たちに思いを馳せる。

わたしたちは「平和な時代を生きている」と思い込もうとしてきただけだったのだろうか? そうではないということがわかってしまった今、わたしたちに何ができるだろうか? 私の両親は戦争の中で青春を過ごし、「戦後」という名の戦争を拒否した時代を、次の世代、つまりわたしたちに託した。こんにゃく座の芸術監督だった林光さんも、音楽のちからで戦争のない時代を守ろうと生き抜いた音楽家だ。わたしたちに何ができるだろうか?

こんにゃく座のような集団が50年も続いたことは、たくさんの方の応援があったからこそだ。感謝の気持ちを忘れてはいけない。昨年の経済的な危機も、支援してくださる方々のご厚志に助けられて、乗り越えることができた。今、50周年を多くの方に祝っていただけることの喜びを心から感じている。不確定な状況とはいえ、新作公演を打つことができる喜び。

オペラ『さよなら、ドン・キホーテ!』。2匹の馬が人間を批評する。にじみ出る苦い笑い。この時代のあふれるほどの理不尽に口を閉ざすことはできない。底抜けに楽しいオペラ、というわけにはいかなくなった。1940年代のフランスの田舎を舞台としているが、この作品のテーマは? と問われれば「いまのこの時代そのもの」と答えるしかない。戦争、家族、LGBTQ、愛、友情、宗教、抵抗、差別、孤独、死、教育、性暴力……。登場人物が背負ってしまっているそれらひとつひとつの苦しみは、簡単には解放されることはない。最後は怒り。瞬発的な怒りではない。深い怒り。長く続く怒り。幼い涙が乾き、そこに消えない灯のように燃え続ける怒り。

これは暗く苦い祝祭オペラ。
※2021年初演時パンフレットより

チケット料金

4月13日販売開始※(全席指定)※未就学児童の入場不可

前売大人2,500円、当日3,000円
前売高校生以下500円、当日1,000円
市民会館友の会しおさいクラブ 2,300円(明石市立市民会館・西部市民会館でのみ取扱い)
チケットfor LINE(公式LINEお友達)2,300円

 

 

関連イベント

舞台の仕組みを見てみよう♪

公演後、キャスト・スタッフによる客席にてバラシ(大道具・小道具・音響・照明装置などを解体して片付ける作業)を見学できます。(解説つき)

所要時間:1時間程度

主催等

主催:(公財)明石文化国際創生財団 
共催:アワーズホール・明石市立市民会館(指定管理者:共立・NTTファシリティーズ共同事業体)
協賛:町劇Akashi、明石おやこ劇場

お問合せ先

(公財)明石文化国際創生財団
078-918-5085
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